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  • 2020/7/17

【ニュース】賃金請求権の時効期間の延長

 令和2年4月1日、民法改正の影響を受け、賃金請求権の時効期間が従来の2年間から3年間へと延長されました。

 

 令和2年4月1日に施行された労働基準法の一部を改正する法律により、残業代を含む賃金請求権の時効期間を2年間と定めていた労働基準法第115条は、「この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。」との内容に改正されました。

 但し、併せて改正された労働基準法の附則第143条第3項によれば、同法第115条の規定の適用に関しては、当分の間、同条の「賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間」との文言を、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から三年間」へと読み替えることとされています。

 この附則により、令和241日以降に支払期日が到来する賃金(退職手当を除く。)の請求権の時効期間は、当分の間、(これを請求することができるときから)3年間となります。

 このような附則が定められたのは、労働者側は、民法改正に合わせて賃金請求権の時効期間を5年間とするよう求めていたものの、時効期間が2年から5年へと一気に延長されることに対する事業者側の反発が大きかったことによります。結果的に、経過措置として、「当分の間」は時効期間を3年間とすることとされました。

 

 上記改正による賃金請求権の時効期間の延長により、残業代を含む賃金の継続的な未払いが生じていた場合の経営に対するインパクトは、従来よりも更に大きくなり得ます。

 また、附則はあくまでも暫定的な経過措置であり、今後の議論によっては経過措置が終了することも考えられますので、この機会に、残業代を含む賃金の未払いが発生し得る状況にないか、改めて自社の人事制度の点検を行っておくことが望ましいといえます。

 

≪弁護士  吉浦 くにか≫

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